学習カリキュラムレベル213

分散投資とアセットアロケーション

資産・地域・時間の3つの分散でリスクを抑える方法を学びます。ドルコスト平均法、相関の考え方、年齢に応じた資産配分とリバランスまで解説します。

「卵をひとつのカゴに盛るな」という相場格言を聞いたことがあるでしょうか。カゴを落とせば卵は全部割れてしまう。だから複数のカゴに分けておきなさい、という教えです。この章では、投資の世界でこの考えを実践するための「分散投資」と、その設計図である「アセットアロケーション」を学びます。

なぜ分散するのか

将来どの資産が上がるかを確実に当てることは、誰にもできません。分散投資は「当てられない」ことを前提に、外れたときのダメージを小さくするための技術です。

重要なのは、分散の効果は「相関」で決まるという点です。相関とは、2つの資産の値動きがどれだけ連動するかを表す考え方です。同じ方向に動きやすい資産同士(相関が高い)をいくら並べても、下落局面では一緒に下がるため、分散の意味は薄くなります。逆に、片方が下がるときにもう片方が下がりにくい(相関が低い)組み合わせなら、ポートフォリオ全体の値動きの振れ幅、つまりボラティリティを抑えられます。

例えば、株式債券は歴史的に相関が低い傾向があるとされてきました。景気が悪化して株価が下がる局面では、金利が下がって債券価格が上がりやすいためです。ただし、インフレが加速した2022年のように株と債券が同時に下落した年もあります。相関は固定ではなく、局面によって変わることも覚えておきましょう。

3つの分散:資産・地域・時間

分散投資には3つの軸があります。

資産の分散

株式・債券・不動産(REIT)・金など、性質の異なる資産に分けることです。株式は高いリターンが期待できる反面、振れ幅が大きい。債券はリターンが控えめな分、値動きが穏やか。こうした性格の違う資産を組み合わせることで、全体の値動きをならします。

地域の分散

日本だけでなく、米国・欧州・新興国など複数の国や地域に分けることです。日本で暮らす私たちは、給料も年金も持ち家も日本経済に依存しています。資産まですべて日本に集中させると、日本経済の停滞や円の価値下落がそのまま家計全体を直撃します。全世界株式型のインデックスファンドを使えば、1本で自然に地域分散ができます。なお、海外資産には為替変動のリスクが加わる点はセットで理解してください。

時間の分散

一度にまとめて買うのではなく、購入のタイミングを複数回に分けることです。その代表的な手法が、次に説明するドルコスト平均法です。

ドルコスト平均法の仕組み

ドルコスト平均法とは、価格の変動にかかわらず「毎月3万円」のように一定金額で買い続ける方法です。金額を固定すると、価格が安い月には多くの口数を、高い月には少ない口数を自動的に買うことになります。

具体例で見てみましょう。ある投資信託を毎月1万円ずつ4か月買ったとします。基準価額(1万口あたり)が1か月目10,000円、2か月目8,000円、3か月目12,500円、4か月目10,000円と動いた場合、購入できる口数はそれぞれ10,000口、12,500口、8,000口、10,000口で、合計40,500口です。投資額4万円に対する平均取得単価は1万口あたり約9,877円となり、4回の価格の単純平均である10,125円より低くなります。安いときに多く買えた効果です。

ただし、ドルコスト平均法は魔法ではありません。右肩上がりの相場では最初に一括投資したほうが結果的に有利ですし、下がり続ける資産を買い続ければ損失は膨らみます。この手法の本当の価値は、「いつ買うか」という最も難しい判断を仕組みに任せ、高値掴みの後悔や買い時を待ち続ける迷いを減らし、長期投資を継続しやすくすることにあります。

ドルコスト平均法を過去データで体感するさわって学ぶ

過去データを読み込み中...

直近5年の日経平均株価(配当・手数料・税金は考慮しない)に投資したと仮定した教育用シミュレーションです。期間の取り方によって結果は大きく変わり、どちらが有利かは事前には分かりません。

アセットアロケーション:配分がリターンの大部分を決める

どの資産に何%ずつ配分するかという設計を、アセットアロケーションと呼びます。米国の有名な研究では、運用成果の変動の大部分は個別の銘柄選択やタイミングではなく、資産配分で説明できると報告されており、長期投資では「何を何割持つか」こそが最重要の意思決定と考えられています。

配分を決める軸は、レベル1で学んだリスク許容度です。目安としてよく使われるのが年齢との関係で、「株式の比率は100から年齢を引いた程度まで」という経験則があります。25歳なら株式75%程度、60歳なら40%程度、というイメージです。

若い人ほど株式比率を高くできる理由は、運用に使える時間が長く、これから得る労働収入という回復余地があるからです。仮に30%の下落に見舞われても、時間と積立の継続で取り返せる可能性が高い。一方、退職が近い人が同じ下落を受けると、取り崩し時期と重なって生活設計に直結します。だからこそ、年齢やライフステージが進むにつれて債券などの安定資産の比率を高めていくのが一般的な考え方です。

もっとも、これはあくまで目安です。同じ年齢でも、収入の安定度、家族構成、性格によって適切な配分は変わります。「下落しても夜眠れる配分」が、あなたにとっての正解に近い配分です。

リバランス:配分を元に戻すメンテナンス

配分を決めて運用を始めても、時間が経つと値動きによって比率は崩れていきます。例えば株式60%・債券40%で始めた資産が、株高で株式70%・債券30%になったとしましょう。これは当初想定より大きなリスクを取っている状態です。

そこで行うのがリバランスです。増えすぎた資産を売り、減った資産を買い足して、元の60対40に戻します。値上がりしたものを売って値下がりしたものを買うため、感情的には気が進みにくい行動ですが、機械的に行うことで「高く売って安く買う」を自然に実践できます。

頻度は年1回程度、あるいは「配分が5%以上ずれたら」といったルールで十分とされています。積立を続けている段階なら、売却せずに新規の積立額の配分を調整して戻す方法(ノーセルリバランス)もあり、税金や手数料の面で有利になりやすい工夫です。

まとめ

  • 分散投資の効果は相関で決まります。値動きの異なる資産を組み合わせることで、全体のボラティリティを抑えられます。
  • 分散には「資産・地域・時間」の3つの軸があり、全世界株式型のファンドと積立投資を組み合わせると自然に実践できます。
  • ドルコスト平均法は定額購入によって平均取得単価を平準化し、タイミング判断の迷いをなくして継続を助ける手法です。
  • 長期の運用成果は銘柄選択よりアセットアロケーションの影響が大きく、リスク許容度と年齢に応じた配分設計が最重要です。
  • 崩れた配分は年1回程度のリバランスで元に戻し、リスクの取りすぎを防ぎましょう。
章末クイズ(4問)

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1. 分散投資の効果が最も高まるのは、どのような資産を組み合わせたときですか?
2. ドルコスト平均法の説明として正しいものはどれですか?
3. リバランスの目的として最も適切なものはどれですか?
4. 一般に、投資期間を長く取れる若い人ほど株式の比率を高めにできると言われる理由はどれですか?

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