学習カリキュラムレベル212

インデックス投資の考え方

市場平均に連動するインデックス投資の基本を学びます。主要な株価指数、パッシブとアクティブの違い、信託報酬が長期リターンに与える影響を解説します。

レベル1では、投資を始める前の土台づくりを学びました。レベル2の最初のテーマは、多くの初心者にとって実践の出発点となる「インデックス投資」です。なぜ世界中の投資家がこのシンプルな方法を支持しているのか、その理屈から見ていきましょう。

市場平均に投資するという発想

株式投資と聞くと、「上がる銘柄を見つけて売買する」姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、数千もの銘柄の中から将来値上がりする会社を選び続けるのは、プロの運用者でも簡単ではありません。

そこで生まれたのが、「個別の銘柄を選ぶのではなく、市場全体を丸ごと買う」という発想です。市場全体の平均的な値動きを表す数値を「株価指数(インデックス)」と呼び、この指数に連動する成果を目指す投資信託インデックスファンドです。

インデックスファンドを1本買うだけで、その指数を構成する数百から数千の銘柄に少しずつ投資したのと同じ効果が得られます。つまり、それ自体が分散投資になっているのです。個別企業の倒産や不祥事で資産の大半を失うリスクを避けながら、経済全体の成長の果実を受け取ることを狙います。

代表的な株価指数を知る

インデックス投資を理解するには、まず主要な指数を知ることが近道です。

指数対象特徴
日経平均株価日本の代表的な225銘柄株価の平均をもとに算出。値がさ株(株価の高い銘柄)の影響を受けやすい
TOPIX東京証券取引所の幅広い銘柄時価総額の大きさで加重。日本市場全体の実態に近い
S&P500米国の代表的な約500銘柄米国株式市場の約8割をカバーする代表指数
NASDAQ総合指数米ナスダック市場の全銘柄IT・ハイテク企業の比率が高く、値動きが大きめ
全世界株式指数先進国と新興国の数千銘柄世界の株式市場をこれ1つでカバーする

日経平均株価は「225銘柄の株価の平均」から出発した指数なので、1株あたりの株価が高い銘柄の影響が大きくなります。一方、TOPIXやS&P500は会社の規模である時価総額で重みづけする方式で、大きな会社ほど指数への影響が大きくなります。同じ日本株の指数でも、算出方法の違いから値動きは微妙に異なります。

また、「オルカン」という愛称で知られるような全世界株式型のインデックスファンドは、日本を含む世界中の株式にまとめて投資できるため、初心者の最初の1本として語られることが多い類型です。

パッシブ運用とアクティブ運用

投資信託の運用方針は、大きく2つに分かれます。

指数への連動を目指す運用を「パッシブ運用」と呼び、インデックスファンドがその代表です。一方、運用のプロが銘柄を調査・選別し、市場平均を上回るリターンを目指す運用を「アクティブ運用」と呼び、その商品がアクティブファンドです。

直感的には、プロが銘柄を厳選するアクティブファンドのほうが有利に思えます。しかし、内外の調査では「長期で見ると、アクティブファンドの多く(調査によっては7〜9割程度)が指数に勝てなかった」という結果が繰り返し報告されています。

理由は主に2つあります。第一に、市場の価格には既に多くの情報が織り込まれており、継続して平均を上回るのが構造的に難しいこと。第二に、調査や売買のコストがかかるため、アクティブファンドは信託報酬などの費用が高くなりがちで、その分がリターンから確実に差し引かれることです。

もちろん、優れたアクティブファンドが存在しないわけではありません。ただし「どのファンドが今後10年勝ち続けるか」を事前に見分けるのは、勝つ銘柄を当てるのと同じくらい難しいのです。

信託報酬の複利的インパクト

インデックス投資で特に重視すべきなのがコスト、なかでも保有中ずっとかかり続ける信託報酬です。

信託報酬は、投資信託を保有している間、資産残高に対して年率で毎日少しずつ差し引かれる費用です。基準価額はこの費用を差し引いた後の値なので、支払っている実感が湧きにくいのですが、その影響は複利で積み重なります。

具体的に試算してみましょう。100万円を年5%のリターンが期待できる市場に30年間投資したとします。

  • 信託報酬が年0.1%の場合、実質的なリターンは年4.9%。1.049の30乗 ≒ 4.20 なので、30年後は約420万円になります。
  • 信託報酬が年1.5%の場合、実質的なリターンは年3.5%。1.035の30乗 ≒ 2.81 なので、30年後は約281万円になります。

毎年のコスト差はわずか1.4%ですが、30年後には約139万円、当初元本を超える差が生まれます。リターンは市場次第で不確実ですが、コストは確実にかかります。だからこそ「確実にコントロールできるコストを最小化する」ことが、長期投資の鉄則とされているのです。近年は指数連動型の低コスト化が進み、年0.1%を下回る水準の商品も一般的になっています。

インデックス投資の限界と注意点

インデックス投資は万能ではありません。誤解を避けるために、限界も押さえておきましょう。

第一に、市場平均に連動するということは、市場全体が下がるときには同じように下がるということです。過去には市場全体が半値近くまで下落した局面もあり、元本割れのリスクは常にあります。「インデックスなら安全」ではなく、「個別銘柄特有のリスクを減らせる」と理解してください。

第二に、リターンはあくまで市場平均です。短期間で資産を何倍にもするような成果は期待できません。インデックス投資は、長い時間をかけて経済成長の平均点を取りにいく戦略です。

第三に、指数選びは重要です。連動する指数が違えば、リスクもリターンも大きく変わります。自分がどの市場の成長に賭けるのかを理解して選ぶことが出発点になります。

まとめ

  • インデックス投資は、株価指数に連動するインデックスファンドを通じて「市場全体を丸ごと買う」投資法です。
  • 日経平均株価・TOPIX・S&P500・NASDAQなど、指数ごとに対象や算出方法が異なり、値動きも変わります。
  • 長期では多くのアクティブファンドが市場平均に勝てなかったという調査結果があり、コストの低いパッシブ運用が有力な選択肢とされています。
  • 信託報酬の差は複利で積み重なり、30年で元本を超える差になり得ます。確実に管理できるコストの最小化が鉄則です。
  • 市場全体の下落からは逃れられません。リスクとリターンはセットであることを忘れずに付き合いましょう。
章末クイズ(4問)

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1. インデックスファンドの運用目標として正しいものはどれですか?
2. 日経平均株価とTOPIXの説明として正しいものはどれですか?
3. 年5%のリターンが期待できる市場で、信託報酬が年0.1%のファンドと年1.5%のファンドに100万円を30年間投資した場合の差について、本文の説明に沿った内容はどれですか?
4. アクティブファンドについて、本文の内容と合致するものはどれですか?

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