学習カリキュラムレベル115

NISAとiDeCoを理解する

投資の利益が非課税になる2大制度、NISAとiDeCoの仕組みを解説。つみたて投資枠と成長投資枠、所得控除、60歳まで引き出せない制約と使い分けを学びます。

投資の利益には約20%の税金がかかる

投資で得た利益(値上がり益や配当・分配金)には、通常、所得税・住民税あわせて約20%(正確には復興特別所得税を含め20.315%)の税金がかかります。例えば10万円の利益が出ても、手元に残るのは約8万円です。

この税金が一定の範囲で非課税になるのが、NISAiDeCoという2つの制度です。国が「自分で資産形成をする人を税制面で応援する」ために作った仕組みで、使わない理由がないほど有利な制度と言われています。なお、本章の内容は2026年時点の制度に基づいています。制度は変更されることがありますので、利用時には最新情報を確認してください。

NISA:いつでも引き出せる非課税制度

NISA(少額投資非課税制度)は、専用口座内で買った金融商品の利益がまるごと非課税になる制度です。2024年に大幅拡充された現行制度(いわゆる新NISA)のポイントは次のとおりです。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資上限120万円240万円
対象商品長期積立に適した一定の投資信託ETF上場株式・投資信託など(一部除外あり)
買い方積立のみ積立・一括どちらも可
  • 2つの枠は併用でき、年間最大360万円まで投資可能
  • 非課税で保有できる生涯の上限(非課税保有限度額)は買付額ベースで1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)
  • 非課税期間は無期限。18歳以上の居住者なら誰でも利用可能
  • 売却するとその分の枠(買付額ベース)が翌年以降に復活し、再利用できる

つみたて投資枠の対象は、金融庁の基準を満たした低コストの投資信託が中心で、例えば全世界株式インデックスファンドのような商品が代表的です。初心者はまずこの枠で毎月の積立を始めるのが分かりやすいでしょう。

注意点もあります。NISA口座内の損失は、他の口座の利益と相殺する損益通算ができません。また、非課税なのはあくまで「利益が出た場合」で、投資である以上、元本割れの可能性は常にあります。

年間投資枠(合計360万円)成長投資枠年240万円まで個別株・投信などつみたて投資枠年120万円まで2つの枠は併用できる毎年積み上げ生涯非課税保有限度額(1,800万円)全体で1,800万円まで(買付額ベース)つみたて投資枠だけで使い切ることも可能うち成長投資枠は最大1,200万円まで(成長投資枠だけでは1,800万円に届かない)売却すると買付額ぶんの枠が翌年以降に復活非課税期間は無期限
新NISA(2024年〜)の構造。年間360万円まで投資でき、生涯の非課税保有限度額は買付額ベースで1,800万円。売却するとその分の枠が翌年以降に復活します(制度は変更されることがあります)。

iDeCo:老後資金専用の最強節税制度

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出して運用し、60歳以降に受け取る「自分年金」の制度です。税制優遇はNISAより強力で、3段階で効きます。

  1. 拠出時:掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税が軽くなる
  2. 運用中:運用益が非課税
  3. 受取時:退職所得控除や公的年金等控除の対象になる

特に1つ目が強力です。例えば、企業年金のない会社員が上限の月2.3万円(年27.6万円)を拠出し、所得税・住民税あわせて税率20%とすると、年間約5.5万円も税負担が軽くなります。拠出した時点で確実に効果が出る、いわば「確定リターン」に近い性質を持ちます。なお、掛金の上限額は働き方(自営業・会社員・公務員など)や企業年金の有無で異なります。2026年12月施行の改正では、企業年金のない会社員の上限が月6.2万円へ引き上げられる予定です(2027年1月の引き落とし分から)。ここでも制度は変更されることがあるため、拠出額を決める際は最新の上限額を確認してください。

最大の注意点は、原則60歳まで引き出せないことです。老後資金づくりに特化した制度なので、結婚・住宅購入・転職準備といった途中のライフイベントには使えません。また、口座管理手数料が毎月かかること、加入・掛金変更などの手続きがNISAよりやや煩雑なことも知っておきましょう。

NISAとiDeCoの使い分け

2つの制度は対立するものではなく、目的に応じて併用するものです。

比較項目NISAiDeCo
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
掛金の所得控除なし全額所得控除
運用益非課税非課税
主な目的中長期の資産形成全般老後資金づくり
手数料口座維持費は基本なし加入時・毎月の手数料あり

新卒・投資初心者への現実的な優先順位は次のとおりです。

  1. まず生活防衛資金を確保する(第2章)
  2. NISAのつみたて投資枠で少額の積立を始める(月5,000円〜1万円でも十分)
  3. 家計が安定し、老後資金に回せる余裕ができたらiDeCoを検討する

若いうちは引っ越し・結婚・転職など出費の変動が大きいため、資金がロックされないNISAの柔軟性が心強い味方になります。一方、収入が上がって所得税率が高くなるほどiDeCoの所得控除の効果は大きくなるため、キャリアの進展に応じて比重を見直すとよいでしょう。

制度を使っても「投資のリスク」は消えない

最後に大切な注意です。NISAもiDeCoも非課税という「器」であって、中身は投資信託などのリスク資産です。制度を使ったからといって値下がりしなくなるわけではなく、元本割れの可能性は常にあります。非課税の恩恵を最大限受けられるのは長期で利益が出た場合ですから、第2章・第3章で学んだ「余裕資金で、自分のリスク許容度の範囲で」という原則はここでも変わりません。

まとめ

  • 投資の利益には通常約20%課税されるが、NISA・iDeCoを使えば非課税になる
  • 新NISAは年間最大360万円・生涯1,800万円まで、無期限で非課税。いつでも引き出せる
  • iDeCoは掛金全額が所得控除になる強力な節税制度だが、原則60歳まで引き出せない
  • 初心者は「生活防衛資金 → NISAで積立 → 余裕ができたらiDeCo」の順が現実的
  • 制度は非課税の「器」にすぎず、元本割れリスクは消えない。制度は変更されることがあるため最新情報を確認する
章末クイズ(4問)

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1. 新NISAの非課税保有限度額(生涯の上限)はいくらですか。
2. NISAとiDeCoの違いとして正しいものはどれですか。
3. 新NISAのつみたて投資枠の年間投資上限額はいくらですか。
4. 新卒1年目の会社員が最初に優先する制度として、この章の考え方に沿うものはどれですか。

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