学習カリキュラムレベル115

金融商品の全体像

預金・債券・株式・投資信託・ETF・REIT・金・暗号資産まで、主な金融商品の特徴をリスクとリターンの物差しで比較し、全体像をつかみます。

地図を持ってから旅に出よう

投資と聞いて思い浮かぶのはでしょうか、それとも最近話題の暗号資産でしょうか。世の中には多くの金融商品がありますが、それぞれ「リスクとリターン」「仕組み」「向いている目的」が大きく異なります。この章では、主な商品を一気に見渡して頭の中に地図を作ります。個別の商品名ではなく「商品カテゴリの性質」を理解することがゴールです。

預金:守りの土台

普通預金・定期預金は、元本の額面が減らない安心感と、いつでも引き出せる流動性が最大の強みです。銀行が破綻しても、預金保険制度により1金融機関あたり元本1,000万円とその利息までは保護されます。弱点は、リターンがごくわずかでインフレに負けやすいこと。生活費と生活防衛資金の置き場所と割り切るのが基本です。

債券:お金を「貸して」利息をもらう

債券は、国や企業にお金を貸し、定期的に利息を受け取り、満期(償還日)に額面が戻ってくる仕組みの商品です。国が発行すれば国債、企業なら社債です。株式より値動きが小さく、満期まで持てば発行体が破綻しない限り額面が戻るため、ミドルリスク・ミドルリターンよりさらに手前の、比較的安定した資産とされています。

ただしリスクもあります。発行体が破綻すれば利息や元本が支払われない信用リスク、市場金利が上がると債券価格が下がる金利変動リスクです。個人向け国債(変動10年など)は元本割れしない設計で初心者にも扱いやすい一方、リターンは限定的です。

株式:会社のオーナーになる

株式は、会社の所有権を細かく分けたものです。株を買うことは、その会社のオーナーの一員になることを意味します。リターンの源泉は2つあり、株価の上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)と、利益の分配である配当(インカムゲイン)です。

会社が成長すれば株価は何倍にもなり得ますが、業績悪化や不祥事で半値以下になることも、倒産して価値がほぼゼロになることもあります。主要資産の中でもっともハイリスク・ハイリターンな部類であり、長期的には世界経済の成長を反映してきた資産でもあります。個別企業を選ぶには分析力が必要なため(レベル3で学びます)、初心者はまず次の投資信託を通じて幅広く持つ方法が現実的です。

投資信託:少額でプロにまとめて任せる

投資信託は、多くの投資家から集めたお金をひとつにまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資する商品です。最大の利点は、100円や1,000円といった少額から、何十〜何千もの銘柄に分散投資できることです。1社の株を買うには数万〜数十万円必要なことを考えると、これは画期的な仕組みです。

投資信託には、日経平均株価S&P500のような指数(市場平均)への連動を目指すインデックスファンドと、指数を上回る成績を目指すアクティブファンドがあります。保有中は信託報酬という運用コストが毎日差し引かれ、一般にインデックスファンドのほうが低コストです。例えば全世界株式インデックスファンドのような商品なら、1本で世界中の株式に分散できます。価格(基準価額)は1日1回算出され、元本保証はありません。

ETF:取引所に上場した投資信託

ETF(上場投資信託)は、その名のとおり証券取引所に上場している投資信託です。中身は投資信託と同じく分散された資産の詰め合わせですが、株式と同じように取引時間中リアルタイムで売買でき、成行指値での注文も可能です。信託報酬が低めの商品が多い一方、通常の投資信託のような「毎月1,000円ずつ自動積立」のしやすさでは一歩譲る面もあります(証券会社によっては自動積立に対応しています)。

REIT:少額からの不動産投資

REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどを保有し、賃料収入や売却益を分配する商品です。現物の不動産投資には数千万円が必要ですが、REITなら数万円から参加でき、証券取引所で売買できます。比較的高い分配金利回りが魅力ですが、不動産市況や金利の影響を受けて価格は株式並みに変動します。

金(ゴールド):利息を生まない「守りの実物資産」

金は世界共通で価値が認められてきた実物資産で、インフレや経済危機の局面で買われやすい傾向があります。ただし、株式の配当や債券の利息のようにそれ自体が収益を生むことはなく、リターンは価格の変動のみに依存します。資産全体の値動きを和らげる「お守り」として少量組み入れる考え方が一般的です。

暗号資産:資産形成の中心には不向き

ビットコインなどの暗号資産は、ブロックチェーン技術を基盤とするデジタル資産です。1年で数倍になることもあれば数分の1になることもある、極端に値動きの大きい資産で、株式や債券と違って利益や利息という価値の裏付けがありません。国内でも交換業者の破綻や流出事件が起きています。話題性はありますが、初心者の資産形成の中心には不向きです。持つとしても、失っても困らないごく少額にとどめましょう。

全体マップ:リスクとリターンで並べる

商品リスク(振れ幅)期待リターン特徴
預金ほぼなしほぼゼロ流動性が高い。預金保険で保護
債券利息と満期償還。信用・金利リスク
投資信託・ETF中身次第中身次第少額から分散。信託報酬がかかる
REIT中〜大不動産の賃料が源泉。金利に敏感
株式値上がり益と配当。企業の成長が源泉
中〜大価格変動のみ利息を生まない。危機に強い傾向
暗号資産極大不確実価値の裏付けがなく投機性が強い
リスク(価格の振れ幅)→ 大期待リターン → 大預金国内債券外国債券REIT国内株式外国株式暗号資産?「低リスク・高リターン」をうたう話は詐欺を疑う
主な金融商品のリスクとリターンの位置づけ(概念図)。右上に行くほどハイリスク・ハイリターン。「低リスクで高リターン」の商品は存在しません。

まとめ

  • 金融商品はリスクとリターンの物差しで整理すると全体像がつかめる
  • 債券は「貸す」、株式は「オーナーになる」という根本的な違いがある
  • 投資信託・ETFは少額から分散投資できる初心者の中心的な選択肢。ただし信託報酬などのコストと元本割れリスクがある
  • REITは不動産、金は実物資産という異なる値動きの源泉を持つ
  • 暗号資産は値動きが極端で価値の裏付けがなく、資産形成の中心には不向き
章末クイズ(4問)

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1. 株式と債券の違いとして正しいものはどれですか。
2. 投資信託の特徴として最も適切なものはどれですか。
3. ETFが通常の投資信託と異なる点はどれですか。
4. 暗号資産(仮想通貨)について、この章の説明に合うものはどれですか。

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